山形の生んだ不世出の歌人斎藤茂吉(明治15年−昭和28年)は、哲学者阿部次郎の招きにより、昭和3年5月東北大帝国大学における講演のため来仙した。その折広瀬川湖畔の阿部次郎宅に二泊し、次の五首(歌集「ともしび」所収)を詠んだ。
|
みちのくに 来しとおもへば 楽しかり こよひしづかに 吾はねむらむ
|
さ夜ふけと 更けわたるころ 海草の うかべる風呂に あたたまりけり
|
朝がれひ 君とむかひて みちのくの 山の蕨(わらび)を 食へばたのしも
|
わがこころ 和ぎつつゐたり 川の瀬の 音たえまなき 君が家居に
|
いとまなき 吾なりしかど みちのくの 仙台に来て 友にあへるはや |
同郷の二人の50年にわたる友情を記念し、あわせてその歌集を讃え、有志を計ってここに歌碑を建設した。 阿部次郎三女 大平千枝子 識
|

|