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山寺立石寺 「預り坊」
(預かり坊という宿はなく、徳善坊を芭蕉止宿の「預り坊」と推定されている)

・場所:山形県山形市山寺大字山寺 Yahoo!地図  
新暦 7月13日
 山形領に立石寺(りゅうしゃくじ)といふ山寺(やまでら)あり。
 山形領に立石寺という山寺がある。

 慈覚大師の開基にして、殊(ことに)清閑(せいかん)の地なり。
 慈覚大師の開基でとりわけ清らかで静かなところである。 

 一見(いっけん)すべきよし、人々(ひとびと)のすゝむるに依(より)て、
 一度見ておいた方が良いと人々に勧められ、

 尾花沢よりとつて返し、その間七里ばかりなり。
 尾花沢から引き返すように出かけたが、その間七里ほどであった。 

 日いまだ暮ず。梺(ふもと)の坊に宿かり置て、山上の堂にのぼる。
 日はまだ暮れていないので、ふもとの宿坊に宿を借りた後、山上の堂に登る。

 岩に巌(いわお)を重ねて山とし、
 岩に岩を重ねたような山姿を呈し、

 松栢(しょうはく)年旧(としふり)土石(どせき)老(おい)て苔(こけ)滑に、
 松や杉、ひのきは老木となり、古くなった土や石は滑らかに苔むし、  

 岩上(がんじょう)の院々(いんいん)扉を閉てものの音きこえず。
 岩の上に建つ多くのお堂の扉は閉じられており、物音ひとつ聞こえない。 

 岸をめぐり岩を這(はい)て仏閣を拝し、
 崖のふちをめぐり、岩を這うようにして仏閣を参拝したが、

 佳景(かけい)寂寞(じゃくまく)として心すみ行(ゆ)くのみおぼゆ。 
 すばらしい景観は静寂の中でさらに映え、心が澄み渡っていくようであった。

閑(しずか)さや 岩にしみ入(い)る 蝉(せみ)の声

山寺立石寺(やまでらりっしゃくじ)
・場所:山形県山形市山寺大字山寺 Yahoo!地図
         閑かさや  岩にしみ入   蝉の声
         しずけさや いわにしみいる せみのこえ
 句意:ひっそりとして、閑かな山寺。山の岩にしみ入るように、蝉の声が澄み透ってきこえる。
詠んだ時期・場所:1689年「奥の細道」 立石寺に参詣した際に詠んだ発句
 1853年 半沢二丘 建立 高橋一具書
2013.6.11



芭蕉像 2013.6.11




         閑かさや  岩にしみ入   蝉の声
         しずかさや いわにしみいる せみのこえ 
 1972年(昭和47年) 建立 鈴木伝六
2013.6.11



 
せみ塚
        静けさや  岩にしみ入   蝉の声
        しずけさや いわにしみいる せみのこえ
 句意:ひっそりとして、閑かな山寺。一山の岩にしみ入るように、蝉の声が澄み透ってきこえる
詠んだ時期・場所:1689年「奥の細道」 立石寺に参詣した際に詠んだ発句
 1748〜50年 吟里・壷中 建立
2013.6.11


2013.6.11


 


芭蕉翁顕彰碑/俳文碑
・場所:山形市山寺大字山寺 立石寺せみ塚 
 山形領に立石寺と云山寺あり。慈覚大師の開基にして、殊清閑の地也。
 一見すべきよし、人々のすゝむるに依て、尾花沢よりとつて返し、其間七里ばかり也。
 日いまだ暮ず。麓の坊に宿かり置て、山上の堂にのぼる。
 
岩に巌を重て山とし、松栢年旧土石老て苔滑に、岩上の院々扉を閉て、物の音きこえず。
 岸をめぐり、岩を這て仏閣を拝し、佳景寂寞として心すみ行のみおぼゆ。
2013.6.11


 

 

芭蕉橋 橋梁欄干
・場所:山形県山形市山寺大字山寺 芭蕉橋橋梁欄干組込プレート Yahoo!地図 
閑(しずか) さや岩にしみ入(いる) 蝉(せみ)の声
・説明: 
2015.9.3



 
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