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鶴岡市羽黒町
芭蕉滞留の地/7月19日〜25日
・新暦7月19日(旧暦6月3日) 
   図司左吉を訪ね、その案内で羽黒山の別当代会覚阿闍梨にお目にかかる。南谷の別院に宿泊
   思いやりの心で、懇ろにもてなしてくださった。羽黒山に登る
   「
涼しさや ほの三か月の 羽黒山
・新歴7月20日(旧暦6月4日)
   羽黒山本坊において歌仙の会 芭蕉、会覚、呂丸、曽良、釣雪、珠妙、円入、梨水の8名
   「有難や 雪をかほらす 風の音」
・新歴7月21日(旧暦6月5日)
   羽黒権現に参詣

・新歴7月22日(旧暦6月6日)羽黒山から月山登山 山頂の角兵衛小屋
   「
雲の峯 幾つ崩て 月の山
・新歴7月23日(旧暦6月7日)月山から湯殿山神社へ
   「語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな」。曾良の句「湯殿山 銭ふむ道の 泪かな」

・新歴7月24日(旧暦6月8日)湯殿山〜羽黒山南谷
・新歴7月25日(旧暦6月9日)
・新歴7月26日(旧暦6月10日)鶴岡 長山五郎右衛門宅着


7月19日〜21日

 六月三日、羽黒山に登る。

 
 図司左吉(ずしさきち)といふ者を尋ねて、別当代会覚阿闍利(えがくあじゃり)に謁(えっ)す。 
 図司左吉というものを訪ねて、その手引きで山を統括する責任者の代理人(別当代)である、会覚阿闍梨に拝謁した。 
 南谷の別院に舎(やどり)して憐愍(れんみん)の情こまやかにあるじせらる。
 阿闍梨は南谷の別院に泊めてくださり、色々と心をつくしてもてなしてくださった。

 四日、本坊にをゐて誹諧興行 ありがたや 雪をかほらす 南谷(みなみだに) 

 四日、本坊若王寺で俳諧をもよおし、こんな発句を詠んだ。 
 五日、権現に詣。当山開闢(かいびゃく)能除大師(のうじょだいし)はいづれの代(よ)の人といふことをしらず。
 五日、羽黒権現に参詣する。この寺を開いた能除大師という方は、いつの時代の人か、わからない。
延喜式(えんぎしき)に「羽州(うしゅう)里山の神社」とあり。
「延喜式」に「羽州里山の神社」という記述がある。 
 書写(しょしゃ)、「黒」の字を「里山」となせるにや。
 書き写す人が「黒」の字を間違って「里山」としたのだろうか。
 「羽州黒山」を中略して「羽黒山」と云にや。
 「羽州黒山」を中略して「羽黒山」といったのだろうか。
 出羽といへるは、「鳥の毛羽を此国の貢に献る」と風土記に侍とやらん。 
 「出羽」という言い方については、「鳥の羽毛をこの国の特産物として朝廷に献上した」と風土記に書いてあるとかいう話である。  
 月山・湯殿を合わせて三山とす。 
 月山、湯殿を合わせて、「出羽三山」とする
 当寺(とうじ)武江東叡(ぶこうとうえい)に属(しょく)して天台止観(てんだいしかん)の月明(あき)らかに
 この寺は江戸の東叡山寛永寺に所属し、天台宗の主な教えである「止観」は月のように明らかに実行されている。  
 円頓融通(えんどんゆずう)の法(のり)の灯(ともしび)かかげそひて、 
 円頓融通の教理を灯火をかかげるようにかかげ、
 僧坊棟をならべ、、 
 僧坊(僧が生活する小さな建物)が棟を並べて建っている。    
 修験行法を励まし
 僧たちは互いに励ましあって修行している。
 霊山霊地の験効、人貴(とうとび)かつ恐る。 
 霊山霊地のご利益を、人々は尊び、かつ畏れている。
 繁栄長(とこしなえ)にして、めでたき御山といいつべし。
 繁栄は永久につづくだろう。尊い御山と言うべきだと思う。
 
 
7月24日〜25日 
 
芭蕉翁 三日月塚
・場所:山形県鶴岡市羽黒町手向(とうげ) 二の坂御坊平若王寺跡前 Yahoo!地図 
・説明:二の坂茶屋から更に坂を登った先の参道右側にある。中央に「芭蕉翁」を刻む石碑があり、左右に、次の句を刻する石灯篭が配置されている。
 翁羽黒山留杖の折、羽黒の句「涼しさや・・」の発句の処
芭蕉塚(三日月塚)
 年 建立 
2015.9.21


2013.7.17


2013.7.17



石燈篭
 
雲の峰 幾つ崩れて 月の山
・句意:

語られぬ 湯殿にぬらす 袂なり
・句意:
2015.9.21



五月雨や ほの三日月の 羽黒山
 句意:




 
南谷別院跡
・場所:山形県鶴岡市羽黒町手向(とうげ) Yahoo!地図 
有難や 雪をかほらす 南谷
・句意:ああ、有り難いことである。南谷は、下界をよそに、南風が霊山の残雪の香をかおらせて、清浄な空気がみなぎっている。
・詠んだ時期・場所:1689年「奥の細道」 鶴岡市 羽黒山南谷別院
 1818年(文化15年) 羽黒山別當覺諄 建立 西大路三位隆明筆
2015.9.21


2015.9.21




羽黒山三神合祭殿(出羽三山神社)/芭蕉野口(三山)三句碑 
凉しさや ほの三日月の 羽黒山
 句意:羽黒山で夕闇の中、木立を通してに三日月がかかっている。五月雨時期の下界の暑さがまるで嘘のようなだ。
加多羅禮努湯登廼仁奴良須當毛東迦那
(かたられぬゆどのにぬらすたもとかな)
 句意:湯殿山神社の神秘は、口外できない掟なので感慨ひとしおで、ひそかに袂を濡らしたりする。
雲の峯い くつくつれて 月の山
 句意:月山に三日月、夕日に映える雲は、幾度、崩れては湧きしただろうか
    入道雲がいくつもいくつも沸き上がってはその姿を崩して行く。
    今は、薄明かりに照らされた月の山が横たえている。
 季語:雲乃峯(入道雲):夏

 1825年 文政8年 羽黒山別當覺諄 建立 
 1973年 昭和40年に月山旧登山口の野口から移設
芭蕉像 2013.7.17







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